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夜空の話、出来が悪いことがわかってきたというか
シリルが可哀想だしあんまり筋が通っていないので
一話を考え直すことにしました。
下げる予定ですが、ちょっと時間がかかりそうなので
そのままにしてます。
シリルが可哀想だしあんまり筋が通っていないので
一話を考え直すことにしました。
下げる予定ですが、ちょっと時間がかかりそうなので
そのままにしてます。
J.K ローリング『ハリー・ポッターと謎のプリンス』Kindle Unlimited
反ヴォルデモート卿組織「不死鳥の騎士団」は犠牲を出しながらもホグワーツ魔法学校内から魔法省の支配をある程度取り除くことに成功する。ハリーたちは六年生になり、進路を決めるOWLテストを受ける年齢。宿敵・セブルス・スネイプは念願かなって「闇の魔術に対する防衛術」の教師となり、魔法世界の影の実力者ホラス・スラグホーンもダンブルドア校長のある狙いにより「魔法薬学」の教師として就任する。ダンブルドア校長も成長をみせたハリーたちに真相を隠すのをやめ、打開策を探るためにヴォルデモート卿の真実を教えていく。ハリーは授業で「半純血のプリンス」と署名された古い教科書の書き込みに助けられ、次第に夢中になっていく……。
スラグホーン先生は俗物なんだけどけっこう憎めないw ズルの薬を使って彼の秘密を暴くくだりは滑稽でお気に入り。ミスリードにはひっかかりまくったが、正体がわかってみると「純血のプリンス」の中二病っぷりが痛い。でも彼はまじめに勉強はしていましたね。今まで絶対の安全装置だったダンブルドア校長がついに戦いに身を投じていくのでけっこうショックなことが起きる。クィディッチは毎回欠陥スポーツだと思ってるけど、今回はとうとう主人公側がメンバー選抜なんかで不正をしちゃってるんで、世の中が腐ってくるとこういうことになるなぁとも思ったり。ロンの妹ジニーウィーズリーにハリーが惹かれる意味がいまいちわからない。前カノのチョウ・チャンは曲がりなりにも「かわいい」っていう絶対的なw理由があったんだけどな……ネビルも薬草学がんばってるね!
ラストは怒涛の展開で、実質学園生活最後の巻。そのまま最終巻に突入。
J.K.ローリング『ハリー・ポッターと死の秘宝』kindle版
二重スパイセブルス・スネイプの策略によりアルバス・ダンブルドア校長が倒れる。ハリーは成人年齢である17歳になり、守護魔法の効力が切れるため、間界の叔母たちとは永遠に別れる。「不死鳥の騎士団」による懸命な護衛策も見破られ、魔法省も完全にヴォルデモート卿に掌握されてしまう。絶体絶命の状況の中、ハリーは親友ロンとハーマイオニーと三人きりで、ヴォルデモート卿が死を克服するため己の魂を分割して収めた七つの「分霊箱」を探す逃避行の旅に出る。
長かったハリーポッターの戦いもこれで終わりである。何を書いてもネタバレなのだが、退場してしまう人物の多さは群を抜いている。結局ハリーは、律儀に幼馴染のスネイプと付き合い続けた母・リリーに似た性格なんだな。ずっとハリーが手を差し伸べ続けてきた劣等生ネビルの成長と活躍が泣ける。
スネイプ先生についてはもともと悪役としていい感じだし、そんなに嫌いではなかったのであれだが、最終巻に至って今まで特権地位に君臨してきたダンブルドアを理想的老賢者としての類型から社会による断罪で欲と血にまみれた現世的人物に解釈しなおすのが面白い。読了して全体の感想だけどやっぱり現代的なファンタジーとしてはかなりよくできている。魔法に変な独自の理論とかつけて窮屈にしていないところが逆に面白い。それでいて、ただのおとぎ話ではなく、ほかの魔法生物に対する魔法使いたちの高慢とか、人間との混血とか、より現実的で普遍的な政治問題を扱うので深みがありリアリティもある。竜に乗るとか聖剣を抜くとかのお約束はしっかりこなすところも安定感がある。
ハリーが心のふるさとになってくれていたウィーズリー家と親戚になれてよかった。六巻からは一気に読んだのでちょっとロスになってるw
さあ、これでようやくホグワーツレガシーをプレイできるぞ。
#ハリーポッター
反ヴォルデモート卿組織「不死鳥の騎士団」は犠牲を出しながらもホグワーツ魔法学校内から魔法省の支配をある程度取り除くことに成功する。ハリーたちは六年生になり、進路を決めるOWLテストを受ける年齢。宿敵・セブルス・スネイプは念願かなって「闇の魔術に対する防衛術」の教師となり、魔法世界の影の実力者ホラス・スラグホーンもダンブルドア校長のある狙いにより「魔法薬学」の教師として就任する。ダンブルドア校長も成長をみせたハリーたちに真相を隠すのをやめ、打開策を探るためにヴォルデモート卿の真実を教えていく。ハリーは授業で「半純血のプリンス」と署名された古い教科書の書き込みに助けられ、次第に夢中になっていく……。
スラグホーン先生は俗物なんだけどけっこう憎めないw ズルの薬を使って彼の秘密を暴くくだりは滑稽でお気に入り。ミスリードにはひっかかりまくったが、正体がわかってみると「純血のプリンス」の中二病っぷりが痛い。でも彼はまじめに勉強はしていましたね。今まで絶対の安全装置だったダンブルドア校長がついに戦いに身を投じていくのでけっこうショックなことが起きる。クィディッチは毎回欠陥スポーツだと思ってるけど、今回はとうとう主人公側がメンバー選抜なんかで不正をしちゃってるんで、世の中が腐ってくるとこういうことになるなぁとも思ったり。ロンの妹ジニーウィーズリーにハリーが惹かれる意味がいまいちわからない。前カノのチョウ・チャンは曲がりなりにも「かわいい」っていう絶対的なw理由があったんだけどな……ネビルも薬草学がんばってるね!
ラストは怒涛の展開で、実質学園生活最後の巻。そのまま最終巻に突入。
J.K.ローリング『ハリー・ポッターと死の秘宝』kindle版
二重スパイセブルス・スネイプの策略によりアルバス・ダンブルドア校長が倒れる。ハリーは成人年齢である17歳になり、守護魔法の効力が切れるため、間界の叔母たちとは永遠に別れる。「不死鳥の騎士団」による懸命な護衛策も見破られ、魔法省も完全にヴォルデモート卿に掌握されてしまう。絶体絶命の状況の中、ハリーは親友ロンとハーマイオニーと三人きりで、ヴォルデモート卿が死を克服するため己の魂を分割して収めた七つの「分霊箱」を探す逃避行の旅に出る。
長かったハリーポッターの戦いもこれで終わりである。何を書いてもネタバレなのだが、退場してしまう人物の多さは群を抜いている。結局ハリーは、律儀に幼馴染のスネイプと付き合い続けた母・リリーに似た性格なんだな。ずっとハリーが手を差し伸べ続けてきた劣等生ネビルの成長と活躍が泣ける。
スネイプ先生についてはもともと悪役としていい感じだし、そんなに嫌いではなかったのであれだが、最終巻に至って今まで特権地位に君臨してきたダンブルドアを理想的老賢者としての類型から社会による断罪で欲と血にまみれた現世的人物に解釈しなおすのが面白い。読了して全体の感想だけどやっぱり現代的なファンタジーとしてはかなりよくできている。魔法に変な独自の理論とかつけて窮屈にしていないところが逆に面白い。それでいて、ただのおとぎ話ではなく、ほかの魔法生物に対する魔法使いたちの高慢とか、人間との混血とか、より現実的で普遍的な政治問題を扱うので深みがありリアリティもある。竜に乗るとか聖剣を抜くとかのお約束はしっかりこなすところも安定感がある。
ハリーが心のふるさとになってくれていたウィーズリー家と親戚になれてよかった。六巻からは一気に読んだのでちょっとロスになってるw
さあ、これでようやくホグワーツレガシーをプレイできるぞ。
#ハリーポッター
#[関係性自論]
創作BLwebオンリー『関係性自論3』 が無事閉会しました(主催者さまお疲れ様でした!)
エアイベント中は様々な作品に出合うことができ、また繋がってくれた方もいらっしゃいました。
当「あきかぜすみか」ではイベント記念SSの更新と小説の無料展示を行いました。
賑やかしになったならよかったかな。特設サイト のほうはしばらく残しておくつもりです。
というわけでイベント記念SS「クリスマス前のともだちのはなし」を本サイトのほうにもUpしました。
https://nov.akikaze.net/original/novel/y...
反応をくださった方、サイトを訪れてくださった皆様、そして主催者さま、誠にありがとうございました。
創作BLwebオンリー『関係性自論3』 が無事閉会しました(主催者さまお疲れ様でした!)
エアイベント中は様々な作品に出合うことができ、また繋がってくれた方もいらっしゃいました。
当「あきかぜすみか」ではイベント記念SSの更新と小説の無料展示を行いました。
賑やかしになったならよかったかな。特設サイト のほうはしばらく残しておくつもりです。
というわけでイベント記念SS「クリスマス前のともだちのはなし」を本サイトのほうにもUpしました。
https://nov.akikaze.net/original/novel/y...
反応をくださった方、サイトを訪れてくださった皆様、そして主催者さま、誠にありがとうございました。
#[創作BL版深夜の60分一本勝負] #[マリーベル×夜空]
お題「相棒」「ライバル」
ウィリアム・E・マリーベル(聖なる修道士)×祈月夜空(闇マジシャン)
相対した恋人が、師より譲り受けた無骨なロッドを振りかざして叫ぶ。
「Magica!」
彼の右手のひらに埋め込まれた魔方陣が光り、単純な魔力の圧がウィリアム・エヴァ・マリーベルに襲いかかる。ウィリアムはにやりと笑い、天使の輪の浮く金髪を振り乱して応戦する。彼のマギカは有り余る魔力で相手を力任せに殴らんとする単純で危なげのない攻撃だ。小手先の対応策はいくつもあるだろう。たとえば、直線的な軌道をいいことに避ける。自分もマギカを放って反らす。あるいは姑息に、解呪魔方陣をあらかじめ書いておいたスペルカードを放って無力化するか……アルカディア魔法大学闇属性棟野外演習場、秋晴れの好天の下、闇色の長髪を生ぬるい魔風になびかせて、ウィリアムの相方こと、祈月夜空は牽制を終え、続けての大魔法を詠唱しはじめている。
しかし、ウィリアムには余裕があった。
「“死者たちは、これらの書物に書かれていることに基づき、彼らの行いに応じて裁かれた……死も陰府も火の池に投げ込まれた。この火の池が第二の死である。“ 地獄の業火よ我が求めに応じて来たれ、その名は命の書に記されず、罪人に責め苦を与えん! Inferno!」
高めのテノールが決然と叫ぶ。十分に距離を取っていただけあり、黙示録の一節を取り入れた詠唱は完了した。術師の体内を流れる魔素が外界のそれらと反応して活性化され、闇の波動をまとって黒艶を帯びた炎が燃え盛る。焦熱が地面から吹き上がって夜空のマギカと直にぶつかる。競り負けはしない、その事実がウィリアムにはうれしかった。
災禍と魔の圧ががっぷり四つに組んで、灼熱の火花を散らしながら互いの勢いを削りあう。ウィリアムは反動を避けるため小規模な魔力炉と化した円周を走りのけて夜空の脇に周りこんだ。ウィリアムのつり上がった緑の瞳が、己の正を実感し悪を滅する愉悦に、存分に力を振るえる快感に細められる。彼がその身に陣を埋め込まれ、単純に呼称で詠唱できるのが「魔法(マギカ)」という名の魔法なら、己は。
「Holy light!」
世界宗教の信仰を後ろ楯にした退魔の聖なる光、清らかさしかなく、そのために歪みですらある真っ白な影。魔方陣を書いていた夜空は逃げ遅れ、至近距離から光熱に焼かれた。
「うっ、ぐ……!」
闇属性本性の夜空にとっては単純なる聖十字の刻印は皮膚を貫いて体内の魔力回路まで痛みをともなって蝕むはずだ。よろけた体勢からウィリアムは相手の横面を指貫グローブの手の甲で張り倒し、試合の決着がついた。ふたりはアルカディア魔法大学三年生、同級生総当たりで行われる『術師対決』のための練習を行っていたのだった。術師対決はともすれば殺し合いになりがちである。互いに触れることができたら負け、という特別ルールでの果し合い。互いに手の内を知り尽くしたふたりである、読みあいはボードゲームに似て、オープンにされたコマの中から戦闘を組み立てていくのが楽しかった。
とりあえずの療治を終え、ウィリアムは夜空を支えながら闇属性塔八階の上級生男子宿舎まで上がっていく。夜空は聖属性の極光がよほどこたえたようで、ともすれば階段を這ってでも行きそうな感じだった。ぐっと肩を担ぎ、平たい腰に手を回してやる。筋肉のある夜空はそれなりに重たい。アジアンのどこかあどけない顔を曇らせて、自嘲している。
「はは、今日は勝ちたかったのにな……俺、カッコ悪い」
「大魔法でカタがつけば話は早いんだがな。本番もこのような決着を迎えるペアが多いと思うぞ」
慰めてやりながら寮の自室を目指す。ようやくたどり着くと、夜空はふらふらとよろけながら二段ベッドの上に上がり……下から様子を注視しているウィリアムに向け、何かをトスしてきた。
――それは真紅の薔薇の花束。花言葉は「情熱」を意味する、西洋の花王。
ウィリアムは驚きながらリボンで束ねられたそのブーケを受け取った。ベッドに隠されていたと思しきブーケは、姫君を抱くように腕の中で豪奢にたわむ。夜空は言った。
「今日は十月十七日。ウィルの十九歳の誕生日だ。ハッピーバースデー、俺のカナリア」
夜空はすっかり回復したような雰囲気でベッドの柵にもたれかかり、そう言った。
無論、何らかのサプライズはあるだろうと期待していたが……今年は『術師対決』を控えているが故に、戦いの結果が出てからにしようと提案したのはウィリアム自身だ。
ウィリアムは微苦笑を漏らし、自分も二段ベッドの上に駆けあがった。薔薇ごと夜空を抱き留めて、キスをする。たっぷりと濃厚に唾液の味をすすったあと、離れて聞いた。
「君にとって私は何だ? ライバル? 親友? それとも恋人か……?」
我ながら想いの重さにおののくが、ウィリアムにとって夜空はそのすべてだった。夜空にとってもそうであってほしかったが、憎らしい恋人は首をかしげて答えた。
「ええと、それはやっぱり……親友で恋人かな。ライバルは他にもたくさんいるからさ」
「ほう? 君の戦歴は私に対してはかなり分が悪いぞ。夜空……その前提は修正してもらわねばな」
かき口説きながら、天井からの距離が近い狭い空間で押し倒す。汗もぬぐわないで、戦いの余熱を逸らすような営みを始める。止まらない飢えにかきたてられながら、第二ラウンドが始まった。
(了)
ウィルと夜空は三年ぐらいたつと未成年ではなくなるよ、という言い訳を込めつつ。
ウィルちゃんは可愛らしい良い子ちゃんな見た目ですが案外攻めるときは平成の攻めしぐさです。
お題「相棒」「ライバル」
ウィリアム・E・マリーベル(聖なる修道士)×祈月夜空(闇マジシャン)
相対した恋人が、師より譲り受けた無骨なロッドを振りかざして叫ぶ。
「Magica!」
彼の右手のひらに埋め込まれた魔方陣が光り、単純な魔力の圧がウィリアム・エヴァ・マリーベルに襲いかかる。ウィリアムはにやりと笑い、天使の輪の浮く金髪を振り乱して応戦する。彼のマギカは有り余る魔力で相手を力任せに殴らんとする単純で危なげのない攻撃だ。小手先の対応策はいくつもあるだろう。たとえば、直線的な軌道をいいことに避ける。自分もマギカを放って反らす。あるいは姑息に、解呪魔方陣をあらかじめ書いておいたスペルカードを放って無力化するか……アルカディア魔法大学闇属性棟野外演習場、秋晴れの好天の下、闇色の長髪を生ぬるい魔風になびかせて、ウィリアムの相方こと、祈月夜空は牽制を終え、続けての大魔法を詠唱しはじめている。
しかし、ウィリアムには余裕があった。
「“死者たちは、これらの書物に書かれていることに基づき、彼らの行いに応じて裁かれた……死も陰府も火の池に投げ込まれた。この火の池が第二の死である。“ 地獄の業火よ我が求めに応じて来たれ、その名は命の書に記されず、罪人に責め苦を与えん! Inferno!」
高めのテノールが決然と叫ぶ。十分に距離を取っていただけあり、黙示録の一節を取り入れた詠唱は完了した。術師の体内を流れる魔素が外界のそれらと反応して活性化され、闇の波動をまとって黒艶を帯びた炎が燃え盛る。焦熱が地面から吹き上がって夜空のマギカと直にぶつかる。競り負けはしない、その事実がウィリアムにはうれしかった。
災禍と魔の圧ががっぷり四つに組んで、灼熱の火花を散らしながら互いの勢いを削りあう。ウィリアムは反動を避けるため小規模な魔力炉と化した円周を走りのけて夜空の脇に周りこんだ。ウィリアムのつり上がった緑の瞳が、己の正を実感し悪を滅する愉悦に、存分に力を振るえる快感に細められる。彼がその身に陣を埋め込まれ、単純に呼称で詠唱できるのが「魔法(マギカ)」という名の魔法なら、己は。
「Holy light!」
世界宗教の信仰を後ろ楯にした退魔の聖なる光、清らかさしかなく、そのために歪みですらある真っ白な影。魔方陣を書いていた夜空は逃げ遅れ、至近距離から光熱に焼かれた。
「うっ、ぐ……!」
闇属性本性の夜空にとっては単純なる聖十字の刻印は皮膚を貫いて体内の魔力回路まで痛みをともなって蝕むはずだ。よろけた体勢からウィリアムは相手の横面を指貫グローブの手の甲で張り倒し、試合の決着がついた。ふたりはアルカディア魔法大学三年生、同級生総当たりで行われる『術師対決』のための練習を行っていたのだった。術師対決はともすれば殺し合いになりがちである。互いに触れることができたら負け、という特別ルールでの果し合い。互いに手の内を知り尽くしたふたりである、読みあいはボードゲームに似て、オープンにされたコマの中から戦闘を組み立てていくのが楽しかった。
とりあえずの療治を終え、ウィリアムは夜空を支えながら闇属性塔八階の上級生男子宿舎まで上がっていく。夜空は聖属性の極光がよほどこたえたようで、ともすれば階段を這ってでも行きそうな感じだった。ぐっと肩を担ぎ、平たい腰に手を回してやる。筋肉のある夜空はそれなりに重たい。アジアンのどこかあどけない顔を曇らせて、自嘲している。
「はは、今日は勝ちたかったのにな……俺、カッコ悪い」
「大魔法でカタがつけば話は早いんだがな。本番もこのような決着を迎えるペアが多いと思うぞ」
慰めてやりながら寮の自室を目指す。ようやくたどり着くと、夜空はふらふらとよろけながら二段ベッドの上に上がり……下から様子を注視しているウィリアムに向け、何かをトスしてきた。
――それは真紅の薔薇の花束。花言葉は「情熱」を意味する、西洋の花王。
ウィリアムは驚きながらリボンで束ねられたそのブーケを受け取った。ベッドに隠されていたと思しきブーケは、姫君を抱くように腕の中で豪奢にたわむ。夜空は言った。
「今日は十月十七日。ウィルの十九歳の誕生日だ。ハッピーバースデー、俺のカナリア」
夜空はすっかり回復したような雰囲気でベッドの柵にもたれかかり、そう言った。
無論、何らかのサプライズはあるだろうと期待していたが……今年は『術師対決』を控えているが故に、戦いの結果が出てからにしようと提案したのはウィリアム自身だ。
ウィリアムは微苦笑を漏らし、自分も二段ベッドの上に駆けあがった。薔薇ごと夜空を抱き留めて、キスをする。たっぷりと濃厚に唾液の味をすすったあと、離れて聞いた。
「君にとって私は何だ? ライバル? 親友? それとも恋人か……?」
我ながら想いの重さにおののくが、ウィリアムにとって夜空はそのすべてだった。夜空にとってもそうであってほしかったが、憎らしい恋人は首をかしげて答えた。
「ええと、それはやっぱり……親友で恋人かな。ライバルは他にもたくさんいるからさ」
「ほう? 君の戦歴は私に対してはかなり分が悪いぞ。夜空……その前提は修正してもらわねばな」
かき口説きながら、天井からの距離が近い狭い空間で押し倒す。汗もぬぐわないで、戦いの余熱を逸らすような営みを始める。止まらない飢えにかきたてられながら、第二ラウンドが始まった。
(了)
ウィルと夜空は三年ぐらいたつと未成年ではなくなるよ、という言い訳を込めつつ。
ウィルちゃんは可愛らしい良い子ちゃんな見た目ですが案外攻めるときは平成の攻めしぐさです。
#告知 創作BLwebオンリー『関係性自論3』 が旧ツイッターでのエアイベントとして開催されることになりました!
当初、イベント合わせで本編二話をと思って作業しておりましたが間に合わず、イベント当日の8/26にはR18な短編をアップする予定です。
当サイトの創作BLを移し替えた企画サイトは https://nov.akikaze.net/jiron/ です。イベント前に本編をぜひチェックしてみてください。
※たくさんWaveをくださった方ありがとうございました!


当初、イベント合わせで本編二話をと思って作業しておりましたが間に合わず、イベント当日の8/26にはR18な短編をアップする予定です。
当サイトの創作BLを移し替えた企画サイトは https://nov.akikaze.net/jiron/ です。イベント前に本編をぜひチェックしてみてください。
※たくさんWaveをくださった方ありがとうございました!


暑くて暑くて作業をする気力も削られています
二章のプロットはできたと思うんですが客観的な判断などできぬ…
サイトの崩れも直さなきゃなんだけど部屋が暑すぎて死にそうです
どうするかね
二章のプロットはできたと思うんですが客観的な判断などできぬ…
サイトの崩れも直さなきゃなんだけど部屋が暑すぎて死にそうです
どうするかね
アバウトページからのリンクを刷新しました。
戦国系に関しては実在の人物を取り扱っておりデリケートなジャンルなので
カプ要素のないサイト以外は削除しています。
今までリンクさせていただきありがとうございました。ずっと大好きです。
実はアバウトページはずっとMetaタグで検索エンジンよけをしていたんですけど、書いていなかったりそのことを自身でも忘れていたので、今回明示的にしてあります。安心してくれる人がいればいいけど。
戦国系に関しては実在の人物を取り扱っておりデリケートなジャンルなので
カプ要素のないサイト以外は削除しています。
今までリンクさせていただきありがとうございました。ずっと大好きです。
実はアバウトページはずっとMetaタグで検索エンジンよけをしていたんですけど、書いていなかったりそのことを自身でも忘れていたので、今回明示的にしてあります。安心してくれる人がいればいいけど。
#[創作BL版深夜の60分一本勝負]
お題「君だけがいればいい」プライド激高こじらせ法学生×百歳超え吸血鬼(若見え)
その奇妙な男と出会ったのはバイト先の書店だった。法学の学生、桐島英司(きりしま・えいじ)はやたらと時代錯誤なつつまし気な男を見た。縁日や花火大会の予定があるのだろうか、染めのないさっぱりしたしじら織りの浴衣だ。整えられた太目の眉、その下には二重のくっきりした憂いの滲むような瞳。髪型はそれなりに長さを残して切りそろえただけの素朴さで、体格はわりに厚みがあり立派だ、美しいだけでなく雰囲気まで兼ね備えたみずみずしさのある男だった。
男は女に絡まれていた。女も女で、相当な美人である。スキのない化粧に、乱れのないヘアスタイルは、美意識の高さを思い知らせた。だが、男のほうは彼女の話をいちいちうなずいて聞きながらも、難しい顔で退けていた。やがて、文学賞候補作を並べた目出し棚のあたりにいた二人の影がさっと重なった。男の襟元をつかんで引き寄せた女がいきなり口づけしたのである。英司はレジを空けてしまうことも構わず出て行って、二人に注意をした。
「よそでやってくれませんか? ここは書店で、そういう場所じゃない」
「すみません」
男はそっと頭を下げ、女には一瞥もくれずに自動ドアから出て行った。女は英司をにらみ、男を追う。「お客さんとトラブルを起こさないように」とは店主から口酸っぱく注意されていたが、英司はとっくに気にしていなかった。事なかれ主義の無能め。
彼は数日後の昼にもう一度やってきて、レジの英司に話しかけた。
「先日はすみません。出禁になったら困るなと思いまして……あの人、いきなりナンパしてきたんです」
「ずいぶん仲が良く見えましたがね」
「いや、そんなことは……ともかく、申し訳なかったです。いずれまた」
英司の皮肉まじりの物言いに、彼は困ったように目を伏せ、最後にはにこりと笑った。――そうして、英司はその客を個別に認識した。彼は純文学や現代思想系を中心にしたずいぶんと硬いラインナップの渉猟家のようだった。女子店員によると名物客らしい。関東のベッドタウンで、日常的に和服を着て過ごすライフスタイルは奇異だ。けれど彼の肌は常に人工的でないいい匂いが漂っていた。
その日はゼミで女子学生のミスを人前でこっぴどくやりこめてしまった。泣き出した女に対して、なぜか教授はそちらの肩を持ち、英司はいらだっていた。バイトに入ると上がり際にその男がやってきた。なんでも注文をしたいという。ISBNもきちんと控えていなかった男の不手際に、英司はあきれ返った。
「今時書名のみでの注文なんか受け付けると思いますか? 時代錯誤もいい加減にしなければね」
「うーんと、店のPCか何かでも、今、検索してくれれば……」
「英司くん、やってあげて」
店長が冷たい声で命じた。英司は舌打ちしたい気持ちをなんとか抑えながらも書名で検索をした。近代のさほど有名でない人物の歌集で、稀覯本扱いであった。
「インターネット書店だと届いても美本でなかったってことがあるから」
彼はまじめな顔でそう言い、英司に淡い笑みを向けた。
バイトを上がると、ちょうど彼が待っていた。
「ごめんね、店員さん。二回も迷惑かけちゃった」
「まったくですよ。いい迷惑だ。最低賃金以上の給料はもらっていない」
すげなく応対すると、彼は隣に並んできた。
「この間のナンパの時も、今日もありがとう。何だか上の人に怒られちゃったみたいだし……お詫びに、おごらせてくれない?」
「いいですよ」
馳走になるのはやぶさかでない。成績のわりに、かわいがられるタイプではなかった英司は即座に返事をして、男とともに町に消えた。大衆酒屋は大学の友人たちと向かうしゃれた店とは違った粗雑な生命力があった。男は滝山到(たきやま・いたる)と名乗った。翻訳や文学、文化関係のリサーチで生計を立てているという怪しげな人物になついてしまったのは、おそらく若さゆえの世間知らずだ。そして餌付けされて今がある。SNSの陰謀論やソーシャルゲームのギャンブルに夢中になり、検索サイトのサジェストのみを信じる俗っぽい友人たちとは距離を置く。滝山の家に入り浸るようになるまで時間はかからなかった。
妙に暑い日だった。滝山の家を訪ねると、自分とそう変わらない年代の男がちょうど出てきた。栗色の髪をツーブロックにした社会人の男はどうも優秀であるがゆえの生きづらさなど感じていないようなボンクラに見えた。彼は英司を見ると憎々し気ににらんだ。英司は喧嘩を買う性質だったから睨み返した。彼は何も言わずに平屋を出ていき、バイト前に滝山の家で課題でもこなそうと思っていた英司はいらだちつつ中に入った。
「あれは、誰ですか。ひどくじろじろ見られたが」
ガラガラと引き戸を開けてわが物顔で入り込んだ英司の問いを、滝山は何気なしにかわした。
「……君と同じようなもの。俺と長く付き合ってくれる同世代の人間なんかいないから」
「俺とあいつが『同じようなもの』? まあ、お前の社会的地位なんぞに今更言及する俺ではないがね。まったく、社会人だというのに礼儀ひとつ知らない唾棄すべきやつだ」
「鹿目くんはそんなに悪い子じゃないよ。たぶん嫉妬じゃない?」
「へぇ」
英司は滝山をつくづくと見た。和服の襟元は乱れ、汗じみない肌がわずかに赤らんでいる。ちゃぶ台には飲み干した麦茶が置いてある。初めて目の当たりにしたが、まあ二人はそのような関係であるのだろうと見当をつけた。ちなみに英司は他人と肉体関係をもったことがまだない。
「『君だけがいればいい』なんて言ってあげたら彼も喜ぶのかな。嘘だからやらないけど……」
考え込んでいる風の滝山を英司は値踏みするように見据えていた。目の前に置かれた餌はどちらなのか。心がさかしまに撫で上げられてゾクゾクする。この年上の奇妙な男がふっかけてきた火遊び。乗ってやるのは悪くないようにも思えていた。(了)
お題「君だけがいればいい」プライド激高こじらせ法学生×百歳超え吸血鬼(若見え)
その奇妙な男と出会ったのはバイト先の書店だった。法学の学生、桐島英司(きりしま・えいじ)はやたらと時代錯誤なつつまし気な男を見た。縁日や花火大会の予定があるのだろうか、染めのないさっぱりしたしじら織りの浴衣だ。整えられた太目の眉、その下には二重のくっきりした憂いの滲むような瞳。髪型はそれなりに長さを残して切りそろえただけの素朴さで、体格はわりに厚みがあり立派だ、美しいだけでなく雰囲気まで兼ね備えたみずみずしさのある男だった。
男は女に絡まれていた。女も女で、相当な美人である。スキのない化粧に、乱れのないヘアスタイルは、美意識の高さを思い知らせた。だが、男のほうは彼女の話をいちいちうなずいて聞きながらも、難しい顔で退けていた。やがて、文学賞候補作を並べた目出し棚のあたりにいた二人の影がさっと重なった。男の襟元をつかんで引き寄せた女がいきなり口づけしたのである。英司はレジを空けてしまうことも構わず出て行って、二人に注意をした。
「よそでやってくれませんか? ここは書店で、そういう場所じゃない」
「すみません」
男はそっと頭を下げ、女には一瞥もくれずに自動ドアから出て行った。女は英司をにらみ、男を追う。「お客さんとトラブルを起こさないように」とは店主から口酸っぱく注意されていたが、英司はとっくに気にしていなかった。事なかれ主義の無能め。
彼は数日後の昼にもう一度やってきて、レジの英司に話しかけた。
「先日はすみません。出禁になったら困るなと思いまして……あの人、いきなりナンパしてきたんです」
「ずいぶん仲が良く見えましたがね」
「いや、そんなことは……ともかく、申し訳なかったです。いずれまた」
英司の皮肉まじりの物言いに、彼は困ったように目を伏せ、最後にはにこりと笑った。――そうして、英司はその客を個別に認識した。彼は純文学や現代思想系を中心にしたずいぶんと硬いラインナップの渉猟家のようだった。女子店員によると名物客らしい。関東のベッドタウンで、日常的に和服を着て過ごすライフスタイルは奇異だ。けれど彼の肌は常に人工的でないいい匂いが漂っていた。
その日はゼミで女子学生のミスを人前でこっぴどくやりこめてしまった。泣き出した女に対して、なぜか教授はそちらの肩を持ち、英司はいらだっていた。バイトに入ると上がり際にその男がやってきた。なんでも注文をしたいという。ISBNもきちんと控えていなかった男の不手際に、英司はあきれ返った。
「今時書名のみでの注文なんか受け付けると思いますか? 時代錯誤もいい加減にしなければね」
「うーんと、店のPCか何かでも、今、検索してくれれば……」
「英司くん、やってあげて」
店長が冷たい声で命じた。英司は舌打ちしたい気持ちをなんとか抑えながらも書名で検索をした。近代のさほど有名でない人物の歌集で、稀覯本扱いであった。
「インターネット書店だと届いても美本でなかったってことがあるから」
彼はまじめな顔でそう言い、英司に淡い笑みを向けた。
バイトを上がると、ちょうど彼が待っていた。
「ごめんね、店員さん。二回も迷惑かけちゃった」
「まったくですよ。いい迷惑だ。最低賃金以上の給料はもらっていない」
すげなく応対すると、彼は隣に並んできた。
「この間のナンパの時も、今日もありがとう。何だか上の人に怒られちゃったみたいだし……お詫びに、おごらせてくれない?」
「いいですよ」
馳走になるのはやぶさかでない。成績のわりに、かわいがられるタイプではなかった英司は即座に返事をして、男とともに町に消えた。大衆酒屋は大学の友人たちと向かうしゃれた店とは違った粗雑な生命力があった。男は滝山到(たきやま・いたる)と名乗った。翻訳や文学、文化関係のリサーチで生計を立てているという怪しげな人物になついてしまったのは、おそらく若さゆえの世間知らずだ。そして餌付けされて今がある。SNSの陰謀論やソーシャルゲームのギャンブルに夢中になり、検索サイトのサジェストのみを信じる俗っぽい友人たちとは距離を置く。滝山の家に入り浸るようになるまで時間はかからなかった。
妙に暑い日だった。滝山の家を訪ねると、自分とそう変わらない年代の男がちょうど出てきた。栗色の髪をツーブロックにした社会人の男はどうも優秀であるがゆえの生きづらさなど感じていないようなボンクラに見えた。彼は英司を見ると憎々し気ににらんだ。英司は喧嘩を買う性質だったから睨み返した。彼は何も言わずに平屋を出ていき、バイト前に滝山の家で課題でもこなそうと思っていた英司はいらだちつつ中に入った。
「あれは、誰ですか。ひどくじろじろ見られたが」
ガラガラと引き戸を開けてわが物顔で入り込んだ英司の問いを、滝山は何気なしにかわした。
「……君と同じようなもの。俺と長く付き合ってくれる同世代の人間なんかいないから」
「俺とあいつが『同じようなもの』? まあ、お前の社会的地位なんぞに今更言及する俺ではないがね。まったく、社会人だというのに礼儀ひとつ知らない唾棄すべきやつだ」
「鹿目くんはそんなに悪い子じゃないよ。たぶん嫉妬じゃない?」
「へぇ」
英司は滝山をつくづくと見た。和服の襟元は乱れ、汗じみない肌がわずかに赤らんでいる。ちゃぶ台には飲み干した麦茶が置いてある。初めて目の当たりにしたが、まあ二人はそのような関係であるのだろうと見当をつけた。ちなみに英司は他人と肉体関係をもったことがまだない。
「『君だけがいればいい』なんて言ってあげたら彼も喜ぶのかな。嘘だからやらないけど……」
考え込んでいる風の滝山を英司は値踏みするように見据えていた。目の前に置かれた餌はどちらなのか。心がさかしまに撫で上げられてゾクゾクする。この年上の奇妙な男がふっかけてきた火遊び。乗ってやるのは悪くないようにも思えていた。(了)
お題「カラオケ」「ラブソング」櫻庭詠×祈月清矢(現代バージョン)
20:20-21:03
四畳半程度のカラオケボックスに火照った体の男子学生二名が乗り込んでくる。中性的なほうの青年が合皮のソファーに身を落ち着ける。黒髪のレイヤーショートで、スモーキークォーツのような眼が印象的だ。まっさらなカッターシャツにチャコールグレーのパンツを合わせてシックな恰好をしている。首元にはクロスが光る。
続けて涼し気な目つきの体育会系の青年がソファに倒れこむ。こちらは黒基調のTシャツにブラックジーンズの素朴ななりだ。二人は中学時代からの幼馴染で、学部こそ違えど同じ国立大学に進学していた。新入生歓迎会におけるありがちな初飲酒の洗礼を受け、はやくも片方ノックダウンと言ったところだ。体調を鑑みてその後の三次会には赴かず、カラオケに居残るという選択をしたのだった。
「清矢(せいや)くん。俺、まだキツイ……ほんとに飲まなきゃよかった」
「詠(よみ)、少し休んでいこう」
清矢と呼ばれた曇り眼の青年は慣れた手つきでワンドリンクオーダーし、タブレットを手繰り寄せて選曲をはじめた。酔っぱらって目元の落ち着かない詠はソファに沈み込みながらその様子を眺める。詠の知らないアーティストの曲が流れだした。
「『君のいいなりになって 僕は汚れた』」
清矢はかすれ交じりのテノールで扇情的な歌詞を歌い始めた。光のない目がらんらんと燃え、サビに入る。歌われている情景はサディスティックなセックス。攻守が交代した興奮で声も凛と張る。詠は悪酔いで鈍く痛む頭にスタンガンで電流を注ぎこまれているような気持ちになった。清矢くんがやらしい曲を歌ってる。えっちなことまでほのめかしてる。剣道でずっと一緒だった綺麗で可愛くてかっこいい俺の清矢くんが……。間奏部分は暗喩的なギターソロ。黒髪を振り乱して歌い終わる清矢の肌はわずかに汗ばんでいた。香る、制汗剤だか香水のアクア。
「うーん……ストレスが解消した」
歓迎会ではアイドルグループのヒット曲やら定番アニソンでお茶を濁していた清矢の本性である。詠は据わった目でにじり寄った。肩をぐいと抱かれ、清矢はきょとんと目を合わせてくる。
「清矢くん……エロい曲は止めて」
「詠とふたりだからだけど?」
「俺のこと誘ってんの?」
「この曲、カタストロフでいいだろ? よし、女性アー解禁!」
「なんで女の曲なんて……!」
「詠も知りたいだろ、清矢の乙女心」
思い切って関係を進めてしまいたくても、清矢はそんな殺し文句でマイク片手に邦楽ロックの女性アーティストによる代表曲を音階調整して歌い始めてしまう。彼の学部は教育学部、ピアノ過程であった。乙女心どころではない蓮っ葉な歌詞にふたたび詠は怖気づいたが、今度の幕間ではマイクを握る手首を組み伏せて、強引にキスを迫った。清矢はつれなく顔を背ける。
「告白もしてないのにいきなりキス?」
「だって、清矢くん俺のこと誘ってる……」
「なんで? 単に攻めた選曲ってだけだろ」
清矢はそう言って、自分のふっくらした唇に人差し指を当てがい、詠のそこをシールでも貼り付けるように封じてきた。
「ほら、間接キスからどうぞ」
詠は屈辱の中唇に押し当てられる指を軽く舐めた。清矢の軽蔑のまなざしはすさまじいものがある。
「たとえ詠だってそんなに簡単にはヤラせない」
清矢はきっぱり言って次の曲を選び始めた。詠はスネて言う。
「俺の事清矢くんの初カレにして」
「ん、わかった」
その秀麗な横顔に赤みは一切ささない。躱された悔しさをばねに立ち直った詠はタブレットを引き寄せ、真剣に適当な曲を見繕いはじめた。恋人同士になれた記念に、ラブソングをいくらでも熱唱してやるつもりだった。(了)
※引用歌 スガシカオ「いいなり」